廃車手続きをした自動車は公道を走ることができません

自動車がなんらかの理由で乗り続けることが出来なくなった場合、取りうる手段のひとつが廃車手続きです。自動車の所有者は「抹消登録」という法手続きを経て自動車を廃車にすることができるのです。

さてこの抹消登録には、永久抹消登録と一時抹消登録があります。永久抹消登録は文字どおり自動車が解体されたという証明を基準として、その自動車の法的な存在が永久に消滅することを意味しています。解体し、スクラップとなった自動車をもとに戻すことは物理的に不可能ですが、仮にそれが行えても、永久抹消登録を行う前と法的に同じ状態にはならないということです。ナンバープレートは返却されます。

もうひとつの一時抹消登録では、車両がそのままに法的な存在を一時的に停止することができます。たとえば海外出張で長期間使用しない自動車に対し、税金や保険料などの支払いを停止する目的や、盗難車両の一時的な対応策として、この一時抹消登録が行われるのです。
(参考:廃車にするかどうか真剣に悩んでるんです

一時抹消登録の場合、その自動車は自走可能な状態で残っていることになりますが、そのままでは当然公道を走ることはできません。まず一時抹消登録の際にはナンバープレートを陸運局、または軽自動車検査協会に返納していますから、ナンバーなしのまま公道を走ればすぐに捕まってしまうでしょう。
良く手続きのために指定機関へ自動車で乗り付け、実際に手続きを行ったら自走できなくなるなんて冗談のような話もあります。

廃車にする予定の自動車の多くは、車検や自賠責保険が切れていたりしますが、これも公道を走れない原因となります。もっとも保険は再加入できますし、仮ナンバーを発行してもらえば5日間は公道を走ることもできますから、それで解体屋まで自動車を持っていくことは可能です。しかし、廃車=抹消登録を行った状態では、絶対に公道を走ることはできないのです。自動車の廃車手続きとは「公道を走りません」という意思表明でもあるのです。